日本栄養治療学会 九州支部 第17回支部学術集会

くまもと森都心プラザで行われた 第17回日本栄養治療学会九州支部学術集会で、
「日常に甲斐を創ることで得られた認知症高齢者の食行動変化-地域包括ケア病棟での新たな栄養治療の試み-」という演題で当院の取り組みを発表しました。

認知症を持つ方は、今までできていたことができなくなる、自分の思いを伝えられなくなるといった生きづらさの中で、自分なりの対処行動をとっておられると思います。
その対処行動は、第三者からみると問題行動に映りがちです。そして、患者様が表出される対処行動そのものの対応に私たち医療者は追われてしまうことも多いと感じております。
「誰もが認知症になり得る」という認識のもと、認知症になっても生きがいや希望を持って暮らすことができるような看護支援を遂行していきたいと思います。

肺炎治療中に認知症を発症した患者様がいらっしゃいました。治療に伴い床上時間が長くなり、食事は全介助を要するようになっていました。
体重は34.0kg、BMI 16.17kg/m2。MNA-SFによる栄養スクリーニングは2点(低栄養高リスク)で、GLIM基準における重度低栄養と診断されました。

日中・夜間問わず独語がみられ、夜間の不眠、検温やオムツ交換、点滴留置などの処置に対し手で払いのけたり、大声をあげるなどの介護抵抗がみられていました。

この患者様に対し、昼食前30分間に歌唱やお手玉などなじみのあるレクリエーション介入を行い、前後の変化を評価しました。

レクリエーションは歌やお手玉、手遊び、工作など 患者様になじみのあるものを選定しました。

評価指標において、経時的な改善がみられました。行動心理症状を評価したスコアが低下(=認知症重症度が軽減)していくのと並行して、介護者の負担も軽減していきました。

食事に関しては、このような改善点がみられるようになりました。小さな一歩ですが、私たちとっては大きな前進のように感じました。

 

入院生活での楽しみを発見するきっかけ創りが、患者様の日々の生き甲斐実感を生み出し、食事中の行動変容につながった貴重な経験をさせていただきました。

今後も、認知症患者様の心身両面に寄り添いながら日常に甲斐を創り、共に歩む看護ケアを充実していきたいと思います。